健診結果を体調管理に役立てましょう!

~毎年受ける健診を大切に~

こんにちは、保健師の宮部です。
毎年、健康診断をされていると思いますが、健診結果ってしっかりご覧になられていますか?せっかく健康診断を受けているのに何も活かされていないのは勿体ないです。健診結果を自分でチェックして健康に役立てるようにしましょう!今回は健診結果の見方などについて簡単にまとめておきますので確認してくださいね。

◆健診結果を体調管理に役立てるためには!

・毎年の健診結果をどのように確認されていますか?
 →経年での変化がないか、改善した項目、悪化した項目などがないかをチェックしましょう。
・生活習慣についても振り返ります。
 →食事、運動面での変化がないか、禁煙・喫煙などについて振り返ります。
・治療中の項目がある場合には?
 →まずは数値が安定しているか、治療が上手くいっているか評価してみましょう。
・数値の見方は?
 →このブログ下部に数値一覧を乗せておきますのでご参考にされて下さいね。

◆健診結果の判定区分について

・判定A/B:「異常なし」「軽度異常」:
→病院受診の必要はなく、この結果を来年も維持できるようにしましょう。
・判定C:「要経過観察」:
→数値が基準範囲から外れており、多くは生活習慣の改善が必要となります。
・判定D:「要精密検査」「要受診」:
→生活習慣の改善とともに、医療機関での精密検査あるいは治療が必要です。
・判定E:「治療中」:
→治療を継続しましょう。

◆健診結果の見方(例)

・体重が増えてきた
 →食べすぎているのかもしれないですね、または運動不足かもしれません。
・血圧が高くなってきた
 →年齢のせい?ストレス?運動不足や長年の食事習慣が原因かも・・・
・血糖値が高くなってきた
 →夕食時間が遅いからかも、運動不足、甘い物を多く摂り過ぎているのかも・・・
・LDLコレステロールが上がってきた
 →油ものの摂り過ぎ、野菜不足、運動不足かも・・・
・飲酒量や頻度が増えてきた
 →脂質や尿酸、肝機能の数値も悪化していないか要確認です!
・治療中の項目がある方
 →数値が安定しているか、薬でコントロールできているのか確認。結果は主治医に診てもらいましょう。

◆まとめ

定期健診は、1年に1度、自分の身体の状態を振り返り、メンテナンスするチャンスだと思いましょう。結果について改善の必要があるならば対策をたて、行動し、1年後の健診で評価します。この作業を続けていくと、確実に健康年齢はUPします。もし健診結果の見方や対策の立て方、生活習慣の見直しの仕方など分からない場合には、ギンザデリシアの「オンライン保健師」から私保健師の宮部にお気軽にご相談下さいませ!

引用文献:畑中純子(監修) 2019 健康診断・保健指導パーフェクトブック(産業保健と看護2019年春季増刊)

※ご参考資料

血液検査

血液検査は、その血液に含まれている細胞や酵素、抗体などの数を数値化して、病気の診断やリスクを見つける検査です。血液検査で分かる主な病気は貧血、肝臓の異常、腎臓の異常、高脂血症、糖尿病などです。関連する病気は項目によって異なるので、下表の項目ごとの説明を見てください。下表の基準値とは、健康人の95%の人が入る範囲です(健康人でもこの範囲を外れる人が少数います)。この範囲を大きく逸脱すると病気の疑いが強まります。病気の疑いが相当に高く明らかに放置するべきでないときは、要精密検査あるいは要医療と判定します。

※精密検査が必要と判定されたときは内科を受診してください。また、主治医の指示に従って対応してください。
※基準値は当会指定の血液検査機関のデータを参考に設定しています。

項目 単位 性別 基準値※ 説明
下限 上限
肝臓系検査 AST
(GOT)
U/L 0 40 心臓・肝臓・筋肉・腎臓などのさまざまな臓器に存在する酵素です。これらの臓器が障害を受けると、この酵素が血液中に放出され、値が高くなります。
ALT
(GPT)
U/L 0 45 ASTと同じように身体のさまざまな臓器に存在しますがALTは主に肝臓に存在するためASTとALTの両方が高いときあるいはALTのみが高い値の場合には肝障害の可能性が高くなります。
γ-GT U/L 0 75 蛋白質を分解する酵素の1つです。肝臓や胆道に病気があると高値を示します。アルコールの影響で高値になりやすく、常習飲酒による肝障害の指標になります。
0 45
ALP U/L 110 360 身体のほとんどの臓器に含まれている酵素ですが、主に肝臓、胆管、骨、胎盤などに多く分布し、これらの臓器の疾患で高値を示します。
コリンエステラーゼ
(ChE)
U/L 235 494 肝臓、膵臓、心臓などに多く存在しますが、肝臓で合成されているため、肝機能をよく反映しています。肝臓障害や栄養障害などで低下し、ネフローゼ症候群や脂肪肝などでは高くなります。
196 452
LDH U/L 115 245 各種臓器に広く分布し、肝臓、心臓、腎臓などの臓器のほか、筋肉や血液にも多く存在します。これらの臓器や血液成分に障害があると高くなります。
総蛋白
(TP)
g/dL 6.7 8.3 血液中にはアルブミンやグロブリンなどの蛋白があり、身体の働きに重要な役割を果たします。低栄養、栄養の吸収障害など蛋白の不足で低下する他、肝臓・腎臓・免疫機能の障害により、身体の代謝に異常があると増減します。
アルブミン
(ALB)
g/dL 3.8 5.3 血液中に一番たくさんある蛋白で、肝臓で合成されます。栄養障害・肝臓や腎臓の障害の時に低下します。
A/G比 1.20 2.00 血清中のアルブミンとグロブリンの比を調べることで、血清蛋白の異常を知ることができます。ネフローゼ症候群や肝臓疾患、慢性感染症などで低くなります。
総ビリルビン
(T-bil)
mg/dL 0.0 1.1 赤血球には寿命があり毎日少しずつ壊れていますが、その際にヘモグロビンが分解されて生じるものがビリルビンです。血中ビリルビンの値により、黄疸の程度などを含め、肝・胆道系疾患の有無やその程度を知ることができます。
肝炎検査 HBs抗原 (-) 肝炎を引き起こすウイルスの1つであるB型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを調べます。
B型肝炎は重大な病気なので、陽性のときは肝臓専門医を受診することをお勧めします。
HBs抗体 (-) B型肝炎ウイルスに対する抵抗力の有無を調べます。この抗体が陽性でHBs抗原が陰性の時はB型肝炎ウイルスによる新たな感染の可能性は低いと考えることができます。
HCV 抗体 (-) 過去または現在、C型肝炎ウイルスに感染した、あるいは感染していることを示します。確認には遺伝子診断であるHCV-RNAを検査します。C型肝炎は重大な病気なので、陽性のときは肝臓専門医を受診することをお勧めします。
脂質系検査 総コレステロール
(T-cho)
mg/dL 130 219 コレステロールは血液中に含まれる脂肪分の1つで、細胞やホルモンを作るために必要な物質です。これが異常に高いと動脈硬化の進行が早まり、長期的には心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などが起こり易くなります。
中性脂肪
(TG)
mg/dL 35 149 高カロリー食やアルコールの過飲などで過剰に摂られたエネルギーは中性脂肪として貯蔵され、さらに増加すると皮下脂肪や肝臓に蓄えられます。これが高くなると、内臓脂肪の増加や脂肪肝の原因となります。
HDL-コレステロール mg/dL 40 86 動脈壁に付着したコレステロールを再び血液中に洗い出す働きがあるため善玉コレステロールと呼ばれます。これが高いと動脈硬化に予防的に働き、低いと動脈壁へのコレステロール沈着が増え動脈硬化の進行が早まります。
40 96
LDL-コレステロール mg/dL 70 119 LDL(低比重リポ蛋白)はコレステロールを末梢細胞に運搬する働きがあります。血中のLDL-Cの増加は冠動脈疾患の危険因子です。栄養の取りすぎに注意して体重を適正に保つように努めてください。肥満ではないのに非常に高い値が続くときは、内科を受診してください。
nonHDL-コレステロール mg/dL 0 149 Non HDL-CはLDLだけでなくすべての動脈硬化を引き起こしたり促進したりするコレステロールを表します。
Non HDL-C=T-cho – HDL-Cで計算されます。
糖代謝系検査 空腹時血糖
(グルコース・BS)
mg/dL 70 99 血液中のブドウ糖は身体の大切なエネルギー源です。食後には血糖が上昇しますが、インスリンの働きでもとに戻ります。糖尿病でインスリンの作用が不足すると血糖値は上昇します。糖代謝の要精密検査・要医療判定(糖尿病疑い)を放置することは危険です。内科を受診してください。
HbA1c(N) % 4.6 5.5 ブドウ糖とヘモグロビンが結合したものを、HbA1c(グリコヘモグロビン)といいます。
この物質は赤血球の寿命である約120日は安定するため、過去4~8週間の長期間の血糖がうまく調整されているかどうかを知るために役立ちます。
尿酸、
炎症、
腎臓・膵臓系検査
尿酸(UA) mg/dL 3.7 7.0 尿酸は身体の細胞の核にあるプリン体が壊れてできるものです。尿酸の合成増加や組織の破壊、腎臓での尿酸排泄の低下などで血中の尿酸濃度は高くなり、関節に沈着し痛風を、腎臓に沈着し腎障害を起こします。また慢性的に尿酸値が高いと動脈硬化を引き起こす危険性があります。
2.5 7.0
C反応性蛋白
(CRP)
mg/dL 0.00 0.30 体内に炎症(リウマチ熱、細菌感染など)があるとき血液中に現れる蛋白質(C反応性蛋白)の量を測定するものです。高値のときは原因となる炎症性疾患について、検査を受ける必要があります。
尿素窒素(BUN) mg/dL 8 22 尿素窒素は蛋白が身体の中で分解されたときにできる老廃物で、これらは腎臓から尿中に排出され
ます。腎臓での排泄が低下すると、血液中の尿素窒素の濃度が高くなります。
クレアチニン mg/dL 0.61 1.04 クレアチニンは筋肉内にあるクレアチンの最終産物で、腎臓でろ過され排泄されるため、腎機能のもっとも重要な指標とされています。
0.47 0.79
e-GFR
(推算糸球体濾過量)
ml/min/1.732 60.0 尿は腎臓で血液を濾過して作られます。この濾過量をGFRとよび腎臓機能の指標とされます。しかしその測定には大きな手間がかかるため、血清クレアチニン値と性別、年齢から計算したe-GFR値を推定値として用い、慢性腎臓病の評価を行います。
アミラーゼ U/L 37 125 膵臓や唾液腺に含まれる消化酵素です。主にこれらの臓器の疾患で、血中や尿中にたくさん排泄され、値が高くなります。
血球系検査 白血球数(WBC) 103/μL 3.9 9.8 生体を細菌やウイルスから守る免疫に役立つ細胞です。感染症や喫煙、ストレス等で高くなりますが、まれに重大な血液系の病気(白血病など)のこともあります。
3.5 9.1
赤血球数(RBC) 104/μL 427 570 身体に酸素を運ぶ血球成分です。少ない場合は貧血を、多い場合は多血症を疑います。
376 500
血色素量
(Hb・ヘモグロビン)
g/dL 13.5 17.6 赤血球の中に含まれる酸素等を運ぶ成分です。低下すると貧血症状が生じます。原因として胃十二指腸潰瘍など消化管からの出血、女性の生理出血の異常などに注意してください。その他、鉄分の不足や血液疾患などが原因となることがあります。
11.3 15.2
ヘマトクリット
(Ht)
% 39.8 51.8 血液は、細胞成分の血球と液体成分の血漿に大別でき、Ht値は、血液中の血球の割合を示します。貧血があると低下し、多血症のときは増加します。
33.4 44.9
MCV fL 83 102 赤血球恒数:以下の3つの恒数をさします。
MCV:平均赤血球容積と呼び、赤血球一個あたりの容積(大きさ)を示します。
MCH:平均赤血球ヘモグロビン量と呼び、赤血球一個あたりに含まれるヘモグロビン量を示します。
MCHC:平均赤血球ヘモグロビン濃度と呼び、赤血球の一定容積に対するヘモグロビン量の比を示します。
以上の3つの恒数から、貧血に関して大球性~正色素性貧血、正球性正色素性貧血、 小球性正色素性貧血、などの鑑別を進める指標となります。
79 100
MCH pg 28.0 34.6
26.3 34.3
MCHC % 31.6 36.6
30.7 36.6
血小板数 104/μL 13.0 36.9 血小板には、出血したときに血液を固めて止血する働きがあります。
血小板が少ない場合は、体の中で血小板が消費されたり破壊が進んでいたりするか、血小板を作る機能が落ちている可能性があり精査が必要です。また、血小板が抗凝固剤として使われるEDTAで凝集する方がおられ、極端な低値となる場合があります。そうした時には再検査が必要になります。

※基準値は日本予防医学協会のデータを参考に設定しているものです。

腫瘍マーカー検査(血液検査)

腫瘍マーカー(腫瘍関連検査)は、がんにより体が反応して産生されることのある物質を血液検査等で測定する検査です。自覚症状のない状態でがんを見つけるきっかけになることがありますが、良性疾患や生活習慣によって異常値を示すことも多く、この検査のみでがんの診断を行うことはできません。また、対策型のがん検診の代わりにはなりません。異常値の場合には精密検査が必要となります。また、検査が正常値でもがんが存在することもあります。関連の精密検査のため、内科を受診してください。PSAは泌尿器科を受診してください。

項目名 対象臓器 単位 基準値※ 説明
下限 上限
AFP 肝臓 ng/mL 0.0 10.0 肝細胞がん、転移性肝がんなどで高値を示します。
がん以外の疾患では、肝硬変や肝炎などでも高値を示すことがあります。
CEA 全体 ng/mL 0.0 5.0 「がん胎児性抗原」とよばれ、胃がん・大腸がん・膵がん・胆道がんなどの消化器系がんに加え、肺がん・乳がん・甲状腺がんなど多くのがんで高値となります。臓器特異性は低く各種がんの経過観察や再発・転移の確認等にもちいられます。喫煙や加齢でも高くなることがあります。
PSA 前立腺 ng/mL 0.00 4.00 前立腺に関連する物質です。前立腺がんの早期発見や再発の確認に役立つと考えられています。ただし前立腺肥大や前立腺炎、尿道刺激後にも上昇することがあり精密検査で確認することが必要です。
CA125 卵巣、
膵臓、
胆道
U/mL 0.0 35.0 卵巣がん、子宮体がん、膵がん、胆道がんなどで高値となります。女性の場合、月経時や妊娠初期に上昇し閉経後に低下するなど性周期にかかわる変化があります。また、良性卵巣嚢腫や子宮内膜症、子宮筋腫、炎症、腸閉塞、膵炎、胆嚢炎などの良性疾患や炎症性疾患でも上昇します。
CA15-3 乳房 U/mL 0.0 27.0 乳がんなどで高値となります。乳がんへの特異性は高いですが、原発性乳がんに比べ転移性乳がんや再発性乳がんでの陽性率が高く、再発の発見や治療効果の判定に用いられます。
エラスターゼ1 膵臓 ng/dL 0 300 膵がんの腫瘍マーカーの一つですが、急性膵炎、慢性膵炎の急性増悪期、膵臓の障害で高い値を示します。他の膵酵素に比べ、いったん上昇すると高値が持続します。
シフラ21-1 ng/dL 0.0 3.5 肺がん(特に扁平上皮がん)などで高値となります。化学療法や手術後の治療効果補助に用いられます。子宮頸がんや間質性肺炎や結核などの肺良性疾患、 食道がんなどでも高値となることがあります。
CA19-9 膵臓・胆道・胃・大腸・卵巣 U/mL 0.0 37.0 膵がん、胆道がん、胃がん、大腸がんなどで高値を示し、治療を含めた臨床経過をよく反映します。胆石症、糖尿病、膵炎、肝硬変、卵巣のう腫などの良性疾患でも増加します。

(引用:日本予防医学協会ホームページより)

 

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